『土地の古老によりますと、昭和の初めまではこの地で白茄子の栽培が盛んで、夏の農繁期には鶏をつぶして白茄子や炒めた野菜と共にうどんを食べ、野良汁と呼んで夏の畑仕事の活力源にしたそうです』と、これは20年数年前に埼玉のお店用に私が作ったキャプションで、本当に聞いた話でもあります。ただしその当時、白茄子はすでに栽培されなくなっており、市場に出回る事はほぼ皆無で、白茄子の野良汁は「幻の味」でした。必然的に普通の茄子を使い、この野良汁を作っていた訳です。ところが最近、この白茄子を野菜売り場で見る事が数回ありました。買い求め使ってみると、独特のとろーんとした食感がたまらなく美味しいのです。まさに幻の味わい。うどんでもそばでも沢山食べられます。
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<材料>
一人前
・鶏もも肉 60g
・白茄子 50g
・長葱 30g
・さやいんげん 25g
・丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>40ml 1袋
・炒め用の油 適宜
・うどん又はそば 一人前
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<作り方>
1)鶏もも肉を一口大に切る
2)白なすは縦に1/4に切って小口から2cm幅に切る
3)長ねぎは3cmの長さで切ってから縦に十文字に切る
4)さやいんげんは下茹でをしてから
5)鍋に油を熱し鶏もも肉を炒め火が通ったら
6
7)6の汁を沸かして器に入れてさやいんげんを加える
8)茹でたうどん又はそばは冷水で締めて提供する
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白茄子です。身の部分が柔らかいです。炒め油を吸収するととろ〜んします。
材料です。もし、白茄子が手に入ら無くても普通の茄子なら通年で作れます。
油をひいた鍋を熱して鶏肉を炒めます。
鶏肉に火が充分入ったら、白茄子と長葱を加えてさらに炒めます。
茄子に油が回り長葱がしんなりした頃合いで、汁を入れ温めます。
お好みで胡麻を振りかけて出来上がり。
薬味には、葱と柚子胡椒を添えました。
この汁はうどんでもそばでも合います。
今、盛んな人気の「武蔵野うどん」は、この農繁期に食べられていた「野良汁」と同じ食の背景を持っているのでしょう。働く人々のガッツリ系スタミナ食。沢山食べられます。
著者紹介
蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康
<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。
感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。