料理人紹介 永山寛康 料理人紹介 永山寛康

料理紹介

語り手

  • 蕎麦料理研究家
    永山塾主宰
    永山 寛康 様

  • 丸眞株式会社
    代表取締役
    眞邉 光英

深みのある風味。目指していた一線を超えた。

――今回のつゆ、どんな印象をお持ちになりました?

辛すぎず、甘すぎない、という正解。味が深いという印象ですね。醤油や鰹節で感じる深みや味わいは、誰もが好む味だからあきがこないですよね。このつゆは市販のつゆでは足りなかった“深み“がありました。

“深み”というのは、私たちの言葉で伝えるなら、熟成感なんです。今まで無かった味、目指していた一線を超えられた手応えはあります。永山先生に試食頂いた時「これ、どうやったの?」と言って頂けて嬉しかったです。

素材を生かし、素材に負けない味。

今回作った鴨ロースのそば。鴨肉の油とつゆの相性が良いでしょ。この料理、鴨肉を使っていますが、ご家庭でつくる場合は鶏肉でも代用はできますよ。でも、つゆに風味がないと、素材の味に負けてしまう。このつゆなら、色々な料理に応用できると思います。

毎日のお料理はもちろんですが、季節の素材を使った料理にも良いですね。例えばお雑煮やおせち料理の煮物。どんな料理にも使えるからこそ、ちゃんと本物の風味のつゆじゃないと、料理全体の味が安っぽくなってしまいます。

――半生サラダ節のそばについてもお聞かせください

半生サラダ節は、薬味の鰹節とはちがって、しっかり鰹の味や食感を楽しめます。これを辛味大根と合わせました。辛味大根を使わない場合は、アマニオイルやえごまオイルなど少し油をかけるとすごく美味しくなると思います。

風味が“のびる”。深みのある味はそのままに。

和食屋とそば屋では出汁のとり方も風味もちがいます。そば屋のつゆは、希釈するといろんなことにつかえます。この希釈するというのは、つゆを薄くする、味をうすめるのではなく、“のばす”感覚に近いです。

――薄めるのではなく、のびる?

良いつゆは風味の深みはそのまま、味がのびる。だから飽きがこないのです。そば湯にした時に、わかりやすいのですが。

以前、私が鰹節の香りを強く感じるつゆを作っていた時、はじめは香りがはっきりして美味しく感じたのですが、その味に徐々に慣れてしまう。わかりやすい味を出すなら鰹節の風味が強く、濃い味を作ればいいのですが、それでは足りない。

このつゆのように“深み”があって、風味がのびるつゆをご家庭で使えるのは良いですね。そば屋さんで出す味をお家で楽しめる。しかも手間がかからない。

料理人紹介

蕎麦料理研究家
永山塾主宰
永山 寛康 様

1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。

感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。