江戸の漬物指南書・『四季漬物塩嘉言』天保七年(1836年)にある『百味加薬漬』。江戸庶民の日常食である漬物は、白米を大量に食していた江戸っ子に好まれた事でしょう。現代、漬物を主にご飯を食べる食生活は少ないと思います。この『百味加薬漬』作っておくと、ちょっとしたつまみやご飯のお供になります。我が家の夏の定番。いつも冷蔵庫に入っています。冷やしたそば汁で頂く「冷やかけ仕立て」のそばもまた格別。
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<材料>
◎百味加薬漬・胡瓜 1本
・茄子 1本
・茗荷 2本
・大葉 5枚
・生姜 ひとかけら
・実山椒 適宜
・青たで 適宜
・柚子 適宜
・鷹の爪 好みでごく少量
◎そば
・丸眞そばつゆ<濃縮タイプ> 1袋40ml
・出汁または水 100ml
・そば 一人前
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<作り方>
◎百味火薬漬1)胡瓜・茄子・茗荷は縦半分に切り斜めに刻む
2)生姜・柚子はみじんに刻む
3)大葉は1cm幅に切りキッチンペーパーに包み水に当ててアクを抜く
4)1・2・3の材料をボウルに入れ塩を振り軽く揉み重しをしてしばらく置く
5)4がしんなりしたら実山椒・青たで・種を除き輪切りにした鷹の爪を加える
◎そば
1)丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>1袋40mlをキリッと冷やした出汁又は水で割る
2)人数分のそばを茹でて冷水でしめて器に取り分け1を注ぎ百味火薬漬をのせる
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胡瓜・茄子・茗荷は縦半分に渡し切りにしてから斜めに刻みます。
生姜・柚子はみじん切りにします。
材料で手に入りにくいのが実山椒。出始める季節に「生」が手に入れば、小枝を取り(これが一手間)、薄い塩で茹でて冷ませば、冷凍して保存出来ます。この数年、山椒が不作で市場に中々出て来なくなっています。出ても高値がついています。市販の物の瓶詰めもあります。柚子はこの季節、そろそろ青柚子が出始めます。丁度、冷凍で黄柚子がありましたので使いました。青柚子なら絞って加えても良いです。
大葉はキッチンペーパーで包んで流水にあててアクを抜くと色が変わりにくくなります。
塩を振り入れて、軽く揉みながら馴染ませて、少し重しを乗せて冷蔵庫に入れます。
お好みで鷹の爪の種を取って、輪切りにして加えます。入れ過ぎると結構辛くなります。
実山椒・青たで・鷹の爪を乗せて「百味火薬漬」の完成。
温かいご飯に合います。
茹でたそばの上にキリキリに冷やしたそば汁に百味加薬漬をたっぷり乗せて、夏野菜のシャッキっとした食感。メカブと大根おろしを加えて、 暑い季節に美味しい夏のそばです。食が進みます。
著者紹介
蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康
<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。
感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。