花見そば弁当と花見そば団子/春は曙、春霞、あ〜春って良いな

桜が咲き出してあっと言う間に満開です。
春が来た。春だもの。春になりました。
さぁさぁ、皆んな集って花見に繰り出しましょう。
この日は夜明け前に起きだして、春は曙ってわけで朝陽を感じながら『そば弁当』を作ってます。
いつも以上に、ちょっと張り切りってます!

花見は江戸時代から庶民の身近な娯楽。
古い落語にも語り続けられてます。
「花見の酒」、「花見の仇討ち」、「長屋の花見」、浮かれておちゃらけた話ばかりです。

桜が咲けば、ねぇ、妙にウキウキして来るっていうのが、日本人の心根じゃありませんか。これは昔から変わらないのですね。 

先ずは、昨日打っておいた『さらしな』『よもぎの草切り』『桜葉切り』のそばを甘酢に浸してお味付け。
何たってそば寿司は手間が掛かりますからね。
他の料理を作りながら、要領良くやらないといけませんよ。

軍艦巻きからいきましょう。そばを指にからめてひと口大に丸めます。
軍艦巻きのそばは従来、型に入れて作ってましたけれど、そばのフンワカ感が出ないので、指巻きに変えました。

海苔で巻きます。これ意外に難しいのですよ。

今日は花見だからね、海老天揚げて奢っちゃうよ。

いろいろな具材を載せて、軍艦巻きが出来上がり。さぁ、一つでけた!洒落てるね。

そば汁を甘く仕立て煮た椎茸・干瓢。
海苔細巻きは、型に入れて具をのせてゴムバンドでしばらく置いておきます。

固まったら、薄焼き卵を挟んで海苔をクルクルと巻きます。

 

さぁ、二つでけた!洒落てます。

 

 次はそば稲荷。甘酢に浸したそばを切って行きます。

具材とそばをボウルに入れて混ぜます。

これに、海苔と小海老と青味をのせれば、そばちらし寿司みたいです。けれども、ここでは甘酢をかけて混ぜ合わせます。

そば汁で煮ておいた薄揚げに詰めます。

三つ葉で巻いてそば稲荷。さぁ、三つでけた!洒落てるでしょ。

 

昨日の夜に作っておいた煮物と焼いた鶏。 
朝イチで作った卵焼きと山菜と竹輪の天ぷら。手間かかってますは、ほんまに。
さぁ、四つでけた!洒落てるな。

 

全部でけた!みんなに声かけて、さぁいよいよ出かけると致しましょう。
と、思ったところで何か?足らない。
そうだ、花見だよ。花見といえば団子だね。花見に団子は付き物だ。忘れていました。
まだ、昼前だ。今日は早起きしたからね。 時間は間に合いそうです。

「おーい、皆んなちょっと待っててな〜」

伝統の「そば甘味四十八手」の内から「そば花見団子」を作る事にしました。
そば粉と餅粉で生地を作ります。生地には甘みをつけておきます。この生地にそれぞれの具材を練り込んで、色と香りを付けていきます。
これは、八重桜をで叩いてペーストにした物。桜色の団子に使いました。

蒸し器で蒸し上げます。

蒸し上がった生地。四色だと寂しいから、余った白を使ってもう一色。

蒸し上がった生地を丸めて串に刺します。「花見そば団子」の出来上がり。
も一つおまけで、さぁ、五つでけた。洒落てるよ。

 

 さぁ、今度こそ出かけましょう。

「おーい、でけたで〜、皆さんおまっとさん、出かけけよか〜」

あれぇ、返事が無い。えっ、誰も居ませんよ。皆んな、待ちきれずに行っちゃったのかい。
何だよ時間かけて、張り切って作ったのに。
これじゃ洒落になりまへん。

 

著者紹介

蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康

<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。

感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。

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