
「ぶっかけそば」です。
元々は三十年ほど前、新規開店したデパート内のそば店で出した、期間限定の品でした。当時、評判だった国立のそば店 大平 を手伝っていた青木さん――現在は那須温泉 青木屋 の店主――から、「そば米をかけたそばを作った」と聞いたのがきっかけです。
そこからヒントを得て、料理長が築地から取り寄せた「汲み上げゆば」を合わせてみたところ、これが思いのほか評判になりました。まだ今ほど湯葉が身近ではなかった時代ですから、「生ゆばがのった冷たいそば」というだけで、どこか御馳走めいた空気があったのでしょう。日に三十杯ほど出る、ちょっとした人気メニューになりました。
とはいえ、このそばの良いところは、実は肩肘張らないところです。具材は、豪華でなくて構いません。山菜でも、揚げ玉でも、刻み海苔でも、冷蔵庫の隅に少し残った胡瓜でもいい。ある物を気軽に盛り合わせるだけで、ちゃんと「ぶっかけそば」の景色になります。
むしろ、あれこれ揃え過ぎない方が、そば屋らしい気楽さが出ます。冷たいそばに具を散らし、つゆをぶっかけて豪快にすすれば、それだけで十分。夏場などは、細かいことを考える前に、まず一口。そういう食べ物です。
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<材料>
使った食材
・揚げそば米
・生ゆば
・小葱
・花かつお
・大根(細切り)
・焼き海苔
・そば米焼き味噌
・ 丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>40mlを水または出汁100mlで割る
・そば
・薬味の山葵
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<作り方>
1)そば米を揚げる→このブログ内の記事一覧から『そば米焼き味噌』を参照ください
2)小葱は小口切りにし大根は桂むきしてから細く切る
3)焼き海苔を細かくちぎる
4)そばを茹で器に盛る
5)各具材を盛り付けてそば米焼き味噌をのせる
6)つゆと薬味の山葵をそえる
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揚げそば米は最後にまわして、まずは「生ゆば」です。豆乳の汁気は、少し切り気味にします。姿を残すようにやさしく扱います。

小葱は小口切りにします。

焼き海苔を指先でちぎるようにして、細かくします。

大根は、かつら切りにしてから繊維が縦になるように細く切ると、シャキッと仕上がります。または、大根おろしにしても良いでしょう。

三十年前のぶっかけは、細い「糸がき」を使っていました。ただ、糸がきだとつゆを吸い過ぎてベタつきました。今回は、花かつおを使いました。

そば米を揚げます。詳しくはこのブログ内の記事一覧から2025.10.01公開の『そば米焼き味噌』を参照ください。




当時使っていた、三十何年前の皿が残っていました。茹であげて冷やしてしめたそばを盛り付けます。円錐形に盛るとそれぞれの具材が立って、見栄えが良くなります。

上から眺めると、生ゆばと大根の白、揚げそば米と花かつおの茶色、小葱と焼き海苔の緑と黒が、それぞれ対称になるように盛り付けます。
ポイントは、具材同士を重ね過ぎず、少し間隔をあけて配置すること。そうすることで、器の中に立体感が生まれ、見た目にも軽やかな印象になります。

丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>40mlを水または出汁100mlで割ります。濃さはお好みで調節してください。

つゆはまさにぶっかけて。そば米入りの焼き味噌は、つゆに少しずつ溶きながら食べると、味変が楽しめます。


著者紹介

蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康
<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。
感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。
