
山芋のとろろそばは、天ぷらや鴨南蛮と共にお馴染みの一品。意外にも、カレー南やコロッケそばよりも新しい種物で、そば店のお品書きに載せられたのは、明治から昭和に年号が変わった頃でした。デビューした頃の「そばとろ」は、当時としては、贅沢な卵で仕立てです。大和芋をおろしたり、鉢で当たったり、痒くなったりと、ちょっと大変。けれど、その一手間が、「そばとろ」ならではの、フワッとした美味しさを作り出します。
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<材料>
二人前
・大和芋 200g
・卵 1個
・ 丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>40ml 2袋 水または出汁180mlで割る(二人前)
・青海苔 適宜
・そば 二人前
・うずらの卵・薬味等
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<作り方>
1)大和芋はおろす時に滑らないように皮を少し残して剥く
2)すり鉢に卵一個を割り入れる
3)大和芋をすりおろす(おろし金を用いても良い)
4)すり終えた大和芋をさらにすりこぎで空気を含ませるようにあたる
5) 丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>40mlを水または出汁で割る
6
7)青海苔をかけ葱・山葵・ウズラの卵等と供する
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大和芋です。「長芋」よりも粘りがあり味が濃く、「自然薯」に比べて粘りが少なく、扱い易い山の芋です。同じ仲間に、手の形をした「いちょう芋」や丸い形の「つくね芋」等などがあります。

皮を剥きます。きれいに仕上げるために、黒い星が残らないように丁寧に剥きます。おろす時に滑らないように、芋を持つために皮を少し残して剥くのがポイントです。

芋をする前に、すり鉢に卵を割り入れます。

最初に大和芋で卵を潰しながら、おろしていきます。

かなり抵抗があります。ここが辛らければ、芋の生地が少し荒くなりますけれど、おろし金を使って、すりおろしてもかまいません。

すりおろした芋をさらにすりこぎを用いて、あたっていきます。

芋の生地を下から上に持ち上げるようにして、空気を取り込むようにスリコギを回してあたります。

空気が入った状態です。生地が膨れてくる感じになります。

さらに当たり続けて、今度は上から下に空気を閉じ込めるように、スリコギを回していきます。生地が浮き上がってくる感じになります。生地が滑らかにきめ細かくなります。ここがポイントです。

一人前あたり 丸眞そばつゆ<濃縮タイプ>40ml を90mlの出汁または水で割ります。

茹で上げた冷たいそばに汁をかけます。

芋の生地をそばに流します。生地を広げるには、水で濡らした指で、生地を開くようにすると、簡単に滑らかに広がります。

人数分を均等に分けるときは、箸を使って生地を巻き取って小分けにすると良いでしょう。

巻き取った生地は、箸を立てるようにすると簡単に小分け用の器に移せます。器を水で濡らしておくと、小分けにした芋の生地が流し易くなります。

青海苔を振って出来上がりです。

うずらの卵は、初期のそばとろに付けたおまけ?戦前は、うずらの卵は高級品だったので出始めの頃は、付いていなかったと思います。薬味は葱と山葵だけです。

そばとろは古くからありそうでも、大正の終わりから昭和元年あたりに登場した、当時の新しい種物。とは言っても、もう百年前のニューフェースになるんですね。

著者紹介

蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康
<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。
感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。
