変わりそば『大葉切り』/思いは募るバジルオイル和え・そばっ喰い基礎講座No.6

しょうじょう寺のタヌキ囃子の様なメロディが聞こえてきます。🎶〜♪〜♫
🎶 噛む噛むエブリバディ〜 みんなで一緒ににそば食べよ〜 

 つ、つ、月見そばより〜 オイラはたん、たん、タヌキそば〜 🎶

「みなさんこんにちは、久しぶりですお元気でしたか!さぁ、いよいよこれから楽しい楽しい、そばっ喰い基礎講座の時間が始まります」

大葉切りは爽やかな色合いと香りの変わりそば。梅雨が終わって日差しが強まり始める頃、初夏に良く打つそばでした。大葉は年間を通して調達出来ますから、今は季節を問わず打たれています。大葉きりの打ち方は、大きく分けて三通りあります。一つめはさらしなの生地に、刻んだ大葉を打ち込み、緑の大葉を白い生地に浮かばせる打ち方。二つめは大葉をすり鉢等ですり潰し、少量の水を加えペースト状にしてさらしな生地に混ぜ合わせる打ち方。こちらはやや透き通った緑のそばになります。三つめは刻んだ大葉とすりつぶした大葉の両方を混ぜる打ち方。薄い緑色の生地の中に大葉が点々を浮かびます。三種三様それぞれに見た目が異なりますけれど、大葉切り独特の爽やかな味わいはほぼ同じです。

今回は、一つめの打ち方で行きましょう。これが一番手間がかからずに作れます。白と緑の対照がきれいで、私はこの打ち方が一番好きです。

粉の総量500gに大葉が15〜20枚が目安。

軸を切り取って半分にたたみます。

包丁で少し潰して、

小口から出来るだけ細く切ります。

水に晒します。晒し過ぎると香りが飛んでしまいますから水にさっと付ける感じです。

ザルで小水を切ります。

キッチンペーパー等で包んで、

しっかり水気を絞ります。

練り上げたさらしな生地に移して、

手のひらで伸ばす様に練り込みます。

何度か折り返しながら、練り合わせます。

しっかり空気を抜いて、まとめます。

練り上がりです。あとは、通常のそば打ち手順で仕上げます。

さらしなの中に大葉の緑が浮かびます。爽やかな香りが、思い切り初夏を感じさせてくれます。

大葉切りならではの香りを生かして、ここからは大葉切りの応用編。『大葉切りのバジルオイル和え』を作ります。オリーブオイルにバジルの葉5枚・ニンニクひとかけら・鷹の爪1本を入れ、常温で3日ほど保存してオイルに香りが移ってから使い始めます。

大葉切りを茹でて、水で充分締めてからボウルに移し、バジルオイルをかけ回し、塩をひとつまみ加えます。器に形良く丸める様に盛り付けて、仕上げにちぎったアンチョビと糸唐辛子をのせて出来上がり。

不思議な事に、そばをバジル切りで作ると主張が強すぎてオイルと合わず、また他の変わりそばで作っても、バジルオイルとの相性があまり良くないのです。大葉切りとバジルオイルのマリアージュってところでしょうか。さて、この「大葉切りバジルオイルアンチョビ添え」は、私が赤坂で営業していた頃のコース料理の一品で作りました。大変好評を頂き、この大葉切りをお目当てでコースをご注文して下さる方が、沢山いらっしゃいました。これも大葉切りならではの、香りがあればこそでした。

さて、第六回目は「桜切りそば」とその応用編でした。いかがでしたか?知らず知らずのうちに、楽しく役に立ったり、立たなかったりしましたでしょうか。それでは、みなさん。また、次回の『そばっ喰い基礎講座』でお会いしましょう。
しょうじょう寺のタヌキ囃子の様なメロディが聞こえてきました。🎶〜♪〜♫
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著者紹介

蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康

<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。

感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。

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