『そばっ喰い基礎講座』No.2/冬の変わりそば「柚子切り」

 しょうじょう寺のタヌキ囃子の様なメロディが聞こえてきます。🎶〜♪〜♫
🎶 噛む噛むエブリバディ〜 みんなで一緒ににそば食べよ〜 

 つ、つ、月見そばより〜 オイラはたん、たん、タヌキそば〜 🎶

「みなさんこんにちは、お元気でしたか!さぁ、いよいよこれから楽しい楽しい、そばっ喰い基礎講座の時間が始まります」

今年も早いもので、もうまもなく年の瀬。日もすっかり短くなりました。
冬の変わりそばといえば、お馴染みはやはりこちらの「柚子切り」ですね。

柑橘系の変わりそばは、「レモン切り」・「陳皮切り」・「レモン切り」・「青柚子切り」「夏柑切り」色々ありますけれど、夏の季節の変わりそばに多いですね。柚子切りは柑橘系変わりそばの中でも、一番の人気者だと思います。

この時期、柚子は何と言っても冬至の日の柚子湯です。お湯に柚子を浮かべて柚子湯にひたるのは、邪気を払うという意味があるそうです。この季節になると、柚子も出回って安価で入手出来ますね。

昔から冬至には、春の七草の様に『冬至の七種』を食べる習慣があるそうです。
南瓜(なんきん)・蓮根(れんこん)・人参(にんじん)・銀杏(ぎんなん)・金柑(きんかん)・寒天(かんてん)・饂飩(うんどん)
皆、語尾に『ん』の付くもので『運』が付くそうです。

変わりそばでは、この日に「かぼちゃ切り」(南瓜切り)を打ちます。

さて、冬至に付き物の柚子なのですけれど、言われてみると柚子には『ん』が付きません。『ん』が付かないので、それだからでしょうか、柚子そのものを直接あんぐりと食べると言うより、上手に利用して使う物のようです。料理だと中身をくり抜いて柚子釜にしたり、絞ってポン酢の仕込みに使う、大きく削いで汁物の吸い口にする、降ろした柚子を水に放って布で濾して料理に散らす等々、とにかく柚子は、冬の香りを感じさせてくれる代表的な物ですね。

「粒うにそば米粥とそば芽の柚子釜」
軽く蒸し上げて、柚子の香りを引き出します。

それでは、柚子切りを打って行きましょう。
御常法のスタンダードな打ち方です。
粉500gに柚子の小さめなら3個か、大きめならば2個の割合でを加えます。
予め、ゆずの皮の部分を降ろしておくと、後の作業がはかどります。


柚子切りはさらしな粉で打ちます。熱湯で湯捏ねをします。
写真は、粉の総量1.5kgです。ここにつなぎ300gを加えますから
このさらしな粉は1.2kgです。

熱いので火傷に注意。私は慣れているのでそのまま手で混ぜていますが、しゃもじ等を使って混ぜれば良いです。

 

つなぎを加え、混ぜてから常温まで冷まします。

 少量ならば、このように柚子の皮を直接降ろせば良いです。

大きな柚子を降ろしておきました。皮の白い部分は苦いので
ギリギリのところで調節します。

柚子についている降ろした皮も、しっかり擦り付けます。

 千切るようになり始め・・・

 あとは良く混ぜながら、練っていきます。

菊練りをして・・・

 

口を閉じながら、側面になる部分をきれいに仕上げます。

生地は、柚子の皮の水分で柔らか目になっています。
この後は、普通に延して切ります。

遊び心で文箱に盛ってみました。季節の便り。

冬の変わりそば「柚子切り」はとく女性に好まれるようです。

さて、第二回目は「冬の変わり蕎麦・柚子切り」。いかがでしたか?知らず知らずのうちに、楽しく役に立ったり、立たなかったりしましたでしょうか。それでは、みなさん。また、次回の『そばっ喰い基礎講座』でお会いしましょう。
しょうじょう寺のタヌキ囃子の様なメロディが聞こえてきました。🎶〜♪〜♫
🎶 噛む噛むエブリバディ〜 みんなで一緒ににそば食べよ〜 

つ、つ、月見そばより〜 オイラはたん、たん、タヌキそば〜 🎶 

著者紹介

蕎麦料理研究家 永山塾主宰
永山 寛康

<プロフィール>
1957年(昭和32年)生まれ。
21歳でそば打ちの世界に入る。名人と名高い片倉康雄・英晴父子に師事し、そば打ちの基本を学ぶ。『西神田 一茶庵』『日本橋三越 一茶庵』に従事した後、『立川 一茶庵』で店長を務める。その後、手打ちそば教室の主任講師などを努め、2004年より「永山塾」を開塾。長年研鑚を積んだそば技術やそば料理の技術を多くの人に教える。

感情豊かなそば打ちやそば料理の指導に、プロアマ問わずファンは多い。近年はそば関連企業と連携して、開業希望者やそば店等への技術指導にも活躍中。

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